Goldensteps

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The Forest 002

二日目

ゲームの解説とかしてても面白くないので、お父さん視点で書く。

 

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※翌朝の海岸線

夜が明ける。

昨日のこの時間にはまだ空港にもたどり着いていなかったというのに、明るい空を見上げるのはずいぶん久しぶりのことだと感じてしまう。他の生存者はいるのだろうか、息子を連れ去ったあの赤い化け物は何者なのだろう。

おぞましい集落があることはハッキリした。考えたくもないことだ。虹をみて感動できるような状況じゃない。だが… まずは生き延びなければ。息子に何があろうと、自分が死んでしまっては終わりだ。

水を確保するところから… ああ、我ながら絶望的な状況だ。全く自分自身を把握できていなかった。墜落のショックと、疲労はここまで判断力を低下させるのか。体の維持こそ第一の優先事項だと肝に銘じよう。

早朝は頭の回転が良いとするのは本当なのかもしれない。どれほど自分が危機的状況か、だいぶ冷静に捉えられているようだ。今日が最も大事だ。水を確保する、そして食料の安定化を探る。この二つ、集中しなければ。1日は短い。

 

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※すぐに海岸線で亀が見つかった

雨の水を確保することしかできないが… ないよりはマシだ。このサバイバルガイド、随分と偏った情報じゃないか? ああクソ… ボーイスカウトを嫌がって遊んでばかりいた昔を呪うよ。どれだけそれが役に立つのか知れたものじゃないが。

そういえば天候は穏やかだ。地元ではやや寒い時期のはずだが… 海岸線とは言え、ある程度の湿気も感じる。雨はそれなりに降りそうだ。問題は「いますぐ」水が欲しいということだが… 今日も缶をひとつ開けることになるか。

食料は揃っているが、今のうちに確保の方法を模索した方がいいだろう。いろいろと作業をしているうちに、野生動物が頻繁に通るところは見かけている。よほど警戒されることをしなければ、しばらく狩りが行えるかもしれない。笑える話だが、毎日の通勤の中には動物を見るという機会が一切なかった。本当なら、もっと有効活用できる肉の部位があるのかもしれないが、無理な話だ。サバイバルガイドに、無毒な植物の案内があるが、肉の処理の仕方などは載っていない。絶妙に役に立たん。

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※手先は不器用なんだ

いくつか資料をもとに、道具を作成した。とりあえず予備の斧と、動物の革による水筒。どうあがいても拠点を離れた行動をする場面は、近いうちにくるはずだ。ライフラインは強化して不足はない。

なんとなくイメージで弓矢も作ったが、これで仕留められたら大したもんだな。やはり、機内にあった斧こそ大事な道具となる。

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※あまりに野生化しているのか 鳥は逃げ出さない

寝床に鳥がくる。逃げるそぶりも見せないので、斧で仕留めた。もうすこしうまく仕掛けを作れば、臨時の食料は彼らから頂けるだろう。

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※カメの甲羅とともに、彼らの肉も得られた

食料ばかりが充実していく。水分、水分、水分…

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※壁を作成

拠点らしさが出てきた。今のところ壁の意味を成していないが、案外やってみればなんとかなるものだ。丁寧に壁を築ければ、いろんなことが安定するだろう。さすがに、精神的にも苦しいところがある。居住空間というのは、結構大変なんだな…

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※ベンチを作成

おかしいと思うかもしれないが、座るという行為は人工的だ。機内を出てから、走り回っているか、地面に寝るかしていなかったなんて! 今日という日にわざわざイスを作成することを許してほしい。座るというのは許されているからこそできる行為だ。これはオススメなんだが、ベンチを作ると気持ちがいい。ぜひ試してほしい。オフィスビルの真ん中でやる勇気があるのならば。

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※土地の確保は目立ってしまうだろうか

雨も降ってきた!!途端に大降り… 寝床は雨をしのげる構造になっていない。びしょ濡れだが… 何ができるというわけでもない。亀の甲羅にたまった水を飲む。生きた心地がしない。水道水の方がいくらでもマシじゃないか。

とにかく一気に降って一気に止んだ。熱帯系の土地柄なのか?雨水受けは2つ作っておいたが、十分そうだ。乾季というものがあるのなら、考えなければいけないが… ハァくそったれ… ちょっと検索してみようと考えている俺がいる。本気か?スマホすら持ってないってのに。

陽も傾いてきた。壁の設計をして、今日の活動はおしまいにしよう。

拠点を大きくすることは、ひとつの悩みにぶつかる。すなわち「自己の存在を確認される」ということだ。仮にあのおぞましい集落の住民たちが生きているとすれば、このような建造物を認識して放置しておくことはないだろう。つまり、拠点を育てるのならば「防衛も並行して考慮する必要がある」ということだ。

そうしたことを懸念して、ひたすらに隠れ続けるという選択肢もあるが… それは本当に自然界でのサバイバルができる野生児のような奴専用のルートだ。少なくとも俺にはない。なぜなら、生活に必要な資材を取りに行くだけでも、彼らにとっては政治活動の自動車が走り回るのに近い喧噪が巻き起こされているに近い状態になるだろう。

つまり「いつかは絶対に認識される」わけだ。ならば、早い段階で固めてしまう方がいい。邪魔をされる確率は上がっていくことは間違いない。

世の中は平和ということになっているのかもしれないが、俺はそんなこと信じられないね。考えてもみろ、オフィスの中は常に戦争状態だったじゃないか。ああ、上司の顔を思い浮かべてしまった。まったく俺も人がいい。無人島に来て考えることが世界平和か? オフィスレベルの。

そういう訳で、ただでさえ最高感度の文明を誇った我らオフィースディジタルワーカーでさえ秒単位で紛争を起こす人種だ。おぞましい文化の原始人がハローと言うわけがない。問答無用で殺しに来ると考えるべきだ。さっきは冗談だが、これはマジだ。ああそうだな… 武器・防衛は揃えて損はない。気が滅入る話だ。考えることが多い。

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※同じ世界のようには思えない

2日目が終わる。息子が捕らえられたまま生きているとするならば、本当に長い時間の恐怖を味わっているだろう… だが俺はこの海岸から動くことすらできていない。本当に親ならば、こんなことを考えるよりも、必死で島中を走り回って捜索するのだろうか? どこか冷静な自分に、やはりおかしいのだろうかとも思う。

いや、だが… 俺が死んではすべてが終わりなのだ。無策で走り回れば1日で野垂れ死んだだろう。冷静でなければならない。夜と疲労が、考えを暗くしてしまっているだけだ…

 

2日目 終